「出家」とは、基本的には「これまでの生活を捨て、仏教の修業をすること」や「お坊さん（僧侶）の資格を得ること」を指す言葉です。
人々が出家を望む背景には、生きる意味を模索したり、嫉妬心などからの解放を求める願望があります。
ただし、出家を選ぶことは単なる生活の変化だけでなく、関係している人々との絆も断つことを意味します。これには「家族」や「友人」など、大切な人間関係が含まれます。
従って、出家を考える際には、その決断が周囲にどのような影響を及ぼすかを考慮することが肝要です。迷惑をかけないようにするためにも、事前に相談や確認を行うことが大切です。
出家したらどうなるの？どんな生活がまっているの？
最初に出家すると、髪を剃り坊主にし、戒律（かいりつ）を受けることが一般的です。
戒律は、仏教徒が守るべき決まりや規律を指しますが、宗教によって異なる要素もあります。
特に宗教によりますが、既婚の状態で出家する例もあるようです。
僧侶になるための特別な資格は存在しませんが、出家するには「得度（とくど）」と呼ばれる儀式を受ける必要があります。
「得度」を受ける前には、自身が仏を深く信じ、仏教に関する理解や知識を積む努力が求められます。そのため、仏教を学べる大学や学部・学科に進学することが一般的で、専門学校や通信教育でも「得度」を学ぶことが可能です。
中学卒業や高校卒業後、寺院を訪れて直接師匠に出会い、「得度」を受けることもできます。ただし、この場合、修行にかかる年数は異なり、例えば曹洞宗では大学卒業者が1年で修行を終えることができますが、中学卒業者は5年、高校卒業者は2年かかります。
修行期間中は肉や酒の摂取が禁じられていますが、修行を終えた後は特定の制約はありません。宗派によっては飲酒や食事の自由度が異なり、一部の僧侶は副業として剣道の師範や市役所の非常勤職員としても活動している例もあります。「住職」という一言で表される職業にも、多様な生活様式が存在することがわかります。
出家したい心理は？どんな人がどんなときに出家したくなるの？
近年では、定年を迎えた方が第二の人生として出家を選ぶケースが増えています。
定年を迎え、仕事から離れることでアイデンティティを見失い、新たな生きがいを模索する際に、出家が一つの選択肢として浮かんでくることがあります。
同時に、
・社会や人生に疲れた人
・仕事や人生を見直したい人
・悩みを抱える人
・救いを求めている人
・自分の居場所が見つからない人
・晩年に生きがいを求めている人
などが、出家を考える理由として挙げられます。これらのケースに共通しているのは、不安や迷いが背後に潜んでいることでしょう。
仏教への信仰が強い人が出家を選ぶこともあります。仏教の教えや修行を通じて、心の平安や人生の意味を求める姿勢が、出家への動機となることがあります。
出家に関する調査から浮かび上がる言葉の一つに、「人生の完全リセット」があります。出家は、自分自身を変えたい人や人生に新たな視点をもたらしたい人にとって、人生の再スタートを意味するものとされています。
女性が出家するには何か条件があるの？
女性が出家する場合も、基本的なプロセスは男性と大きく変わりません。
お寺で生まれ、僧侶を目指す場合、大学を卒業後に修業を積み、その後自らのお寺で活動することが一般的です。
一般の女性が僧侶になる場合は、まず師匠を見つけて出家し、その後修業道場で修業します。修業を終えた後は、「住職を務めること」や「布教活動を行うこと」、そして「通常の生活に戻ること」があります。
女性の場合、尼寺で修業することが一般的です。また、僧侶や僧侶見習いを募集している場所も存在し、休暇制度も設けられているところがあります。夏季休暇や年始休暇だけでなく、「特別休暇」「産前産後」「育児休暇」「介護休暇」「年次有給休暇」なども取ることができます。
女性の出家者は「尼（あま）」さんや「尼僧（にそう）」と呼ばれ、男性と異なり具足戒が多く、348の戒律を守る必要があります。男性は250戒です。
大本山妙心寺では、「臨済宗黄檗宗女性禅学林」という名前で、坐禅などの体験が行われています。コロナ禍で中止された時期もありましたが、2023年からは再び募集が始まっています。体験から始めてみることも、興味がある方には良い選択かもしれませんね。
出家することの意味のまとめ
出家し、お坊さん（僧侶）になるためには、まず仏教に対する興味や関心、そして信仰心が不可欠です。また、宗派によって教えが異なるため、自身がどの宗派で学びたいのかを考えることも重要です。
ただし、出家には強い意志が求められます。自分がどれだけ真剣に取り組むつもりなのかが、出家を受け入れてもらえるかどうかの鍵となります。
出家が本当に自分にとって必要なのか、家族や周りの人に迷惑をかけないかなど、慎重に考慮すべき点がたくさんあります。しっかりと自分の心情や状況を理解し、検討した上で行動することが重要です。
