行者にんにくは、驚くべきなだけでなく、栄養と効果に富んでいます。
その特有の香りと独特の食感に一度触れると、山菜の虜になること間違いなしです。
そのため、ついつい食べ過ぎてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、一度に摂りすぎると身体に不調が生じる可能性があると言われています。
ここで、考えてみましょう。
行者にんにくを食べ過ぎると、具体的にどのような影響があるのでしょうか？
行者にんにくを摂取する際の留意点は何でしょうか？
行者にんにくにはどのような栄養成分と効果があるのでしょうか？
行者にんにくについての情報をしっかり把握し、今後の食事に役立ててください。
行者にんにくを食べ過ぎるとどうなる？
行者にんにくも、にんにく同様に生で摂取したり、食べ過ぎたりすると口臭が強まり、お腹の不調を引き起こす可能性があります。
行者にんにくを過剰に摂取すると、
口臭がひどくなる: 生での摂取が可能な行者にんにくは、一度に多く摂ると強烈な匂いがしばらく取れません。その匂いの主因は、にんにくの約4倍も含まれている「アリシン」です。
腹痛や下痢: 「アリシン」には強力な抗菌作用があり、炎症の抑制や防止に寄与します。しかし、摂り過ぎると強烈な殺菌効果が胃の粘膜や胃壁を刺激し、結果として腹痛や下痢を引き起こす可能性があります。
貧血やビタミン不足: 「アリシン」は健康に対する効果がある一方で、刺激が強いため、食べ過ぎにより胃の粘膜が荒れ、腸からの栄養素吸収が阻害される可能性があります。これが原因で貧血やビタミン不足に陥ることがあります。
行者にんにくの摂取には注意が必要であり、適切な量とバランスを保つことが重要です。
行者にんにくの食べるときの注意点は？
胃腸が弱い方は、行者にんにくを生で摂取すると刺激が強いため、加熱調理がおすすめされます。
生で摂る際には、空腹時に摂るのを避けると良いでしょう。
加熱調理をすることで身体への不調を感じる可能性は低くなりますが、それでも食べ過ぎは避けるようにしてください。
「アリシン」はたんぱく質と結合する性質があります。たんぱく質と一緒に摂ることで、胃腸への刺激が緩和されます。
アリシンは水溶性なので、食べ過ぎた場合は水分摂取によって体から排出しやすくなります。
摂取量に関しては、にんにくと同様に行者にんにくも個人差があります。一般的には、
生の行者にんにくなら1片～2片（約10g）
加熱した場合は4～5片（約50g）
が1日の摂取量の目安とされていますので、これを超えないよう心がけてください。
美味しさに惹かれても、一度に食べ過ぎないよう注意し、加減しながら摂ることが重要です。
行者にんにくの栄養や効能は？
にんにくというと健康に良いイメージがありますが、行者にんにくも例外ではありません。
実際、行者にんにくには驚くべきなほどの栄養が含まれています。特に注目すべきは、体内のサビを取り除く抗酸化作用の高い栄養素です。
この栄養素は生活習慣病やガンの予防にも寄与するとされ、積極的に摂取すべき山菜と言えるでしょう。
ただし、摂取に際しては過剰な摂取には注意が必要です。
行者にんにくが特に優れている栄養素には以下があります。
ベータカロテン: これはにんにくの2μｇに対して、行者にんにくにはその1000倍の2000μｇも含まれています。ベータカロテンは抗酸化作用があります。
ビタミンK: 血液の凝固を助け、丈夫な骨作りに不可欠なビタミンKも含まれています。含有量は100ｇあたりの推奨摂取量の2倍以上です。
ビタミンC: 美肌を保つためだけでなく、風邪の予防や免疫力向上にも寄与します。行者にんにくにはにんにくの約5倍のビタミンCが含まれています。
アイリン: 血糖値やコレステロール値の上昇を抑え、血流を良くし、免疫力を向上させる効果があります。また、アイリンはアリシンに変わり、ビタミンB1の吸収率を向上させ、疲労回復にも寄与します。
行者にんにくのパワーはかなりのもので、適切な摂取量で取り入れることで健康に良い影響を与えるでしょう。
行者にんにくの由来や旬の時期は？
「行者にんにく」の名前の由来は、山岳行者が山で修行中にこの山菜を摂っていたことに起因しています。山岳行者たちは厳しい修業に耐えるため、その荒行の中で生えていた山菜を食べていたといわれています。行者にんにくはそのなかでも特に栄養が豊富で、滋養が過剰になりすぎてしまい、食べることが禁じられるほどだったと言われています。このエピソードから、「行者にんにく」という名前がついたのです。
行者にんにくはニンニクやニラと同じネギ科の多年草で、北海道から近畿地方にかけて分布しています。自生する行者にんにくは収穫までに7～8年かかり、北海道など寒冷な山間地域に自生しています。しかし、山菜採りにおいて過度に根を採取すると次の成長が妨げられるため、自生のものは減少しています。
行者にんにくの育成には多くの年月がかかり、種をまいてから2年目の春に芽が出てから3～4年かかり、5年以上かけてようやく花が咲き、種がつくという長いサイクルを経て収穫されます。この貴重な山菜は「幻の山菜」とも呼ばれています。
行者にんにくの旬は3月から5月で、ハウス栽培品は1月から流通し始めます。土がついたままの状態で販売されていることがありますので、購入時には下処理が必要です。薄皮や赤い部分を剥いて白い茎を取り出し、土や虫がついていないか確認することが大切です。
行者にんにくの美味しい食べ方の一つには、醤油漬けがあります。熱湯でサッとゆで、醤油に漬け込むことで美味しく味わえます。行者にんにくが手に入ったら、ぜひ試してみてください。
まとめ
行者にんにくは北海道の山菜として広く知られています。この珍しい山菜についての解説がお役に立ったことを嬉しく思います。
最近では、市場に出回っている行者にんにくの多くは栽培されているものですが、山で自生しているものも存在します。山歩きの機会があれば、貴重な山菜を見つけてみるのは楽しい体験になるでしょう。
ただし、行者にんにくと似た姿を持つイヌサフランが存在し、食べると下痢や嘔吐、最悪の場合死亡することがあるため、注意が必要です。山菜取りを行う際には、十分な知識がある人と一緒に行動することが重要です。安全第一で山菜取りを楽しんでくださいね。
