「定時で退社する人は、仕事が手につかないんじゃないかって思うことありますよね。」
「あいつ、何してるんだか分からないくせに、定時で上がってくるんだもん。」
「自分だって仕事で手一杯なのに、定時で上がるってどういうこと?」
定時で帰る人に対するこのような見方、意外と身近に感じることがあるのではないでしょうか。
どうやら、それが一部の人たちの共通の考え方のようです。
あなたの職場でも、そんな意見がちらほらと聞こえてくることはないでしょうか。
そして、そのために何かしらの形で、「定時で帰るのはダメだ!」といった空気が広がっていることも考えられます。
もちろん、仕事が山積みである中で、定時で上がることは難しいかもしれません。
でも、実際には定時で上がる人もいます。
彼らの中には・・・
仕事がうまくいってないのに、周りには何もかも押し付けて、定時で帰る人
仕事がスムーズに進んでいるので、早く終わり、定時で上がる人
といった2つのタイプが存在します。
この違いによって、見方も変わるのです。
そこで、この記事では・・・
「定時で上がる人=仕事ができない?」について考えていきたいと思います。
目次
「本当に仕事ができない」人が定時で帰るのは良くない
「定時で帰る人は仕事できない!」という言葉には、実は2つの可能性が考えられます。
まず、「本当」に仕事できない場合を考えてみましょう。
これは、言われている社員が実際に仕事が進まず、まだまだ残っているにもかかわらず、定時に帰ってしまっている状態です。
正直、これは好ましくありません。
仕事が未完了なのに、他の同僚や上司がその仕事を引き継がなければならないことになります。
当然、他のメンバーも他人の仕事を抱えることは望ましくないでしょう。
そのため、「仕事できないくせに、定時で帰るなんて!」という怒りの言葉が出てくるのも理解できる面もあります。
ただし、契約した時間内に働くことは社員の権利でもあります。
したがって、法的には労働基準法に基づいて残業させることも可能です。
もちろん、業務命令に従うことは労働契約に含まれています。
ただし、理不尽な命令には従う必要はありません。
違法な濫用であれば、命令は無効となる可能性もあります。
状況によっては、「定時で帰るのは社員の正当な権利だ!」という考え方も成り立つでしょう。
次に、「デタラメ」の可能性を考えてみましょう。
これは、実際には仕事ができているにもかかわらず、周囲がその実力を認識せずに「仕事できない」と決めつけられている場合です。
仕事がスムーズに進んでいるため、定時で帰ることができる社員も存在します。
したがって、「仕事できるのに、定時で帰るなんて許せない!」という意見も一理あるかもしれません。
結局、定時で帰る人が仕事できるかどうかはケースバイケースであり、単純な一般論では判断できないと言えそうです。
優秀なので定時で帰っているケースも多い
逆に、「優秀なので定時で帰っている」ケースも存在します。
シンプルに、自分の仕事が完了しているために定時で帰宅しているわけです。
この場合、「定時で帰る人は仕事できない」という言葉はまったくの誤りです。
むしろ、仕事を効率的にこなし、目標を達成した結果、定時で帰ることができるというのは、むしろ優れた仕事への証拠と言えるでしょう。
同じ職場にいてその人が優秀であることが分からないわけはありません。
従って、「こいつは仕事できない!」と主張するのは、むしろ言っている人自体が定時で帰る人の実力を理解できていない可能性があります。
あるいは、「定時で帰るなんて、けしからん!」という意味で言っているのかもしれませんが、個人的には優秀な人が自分の仕事をこなした結果として定時で帰ることは問題ではありません。
自分の仕事が終わったから帰るのは、むしろ効率的で働き方として理想的と言えるでしょう。
しかし、「定時で帰るなんて、けしからん!」と主張する側からは、おそらく以下のような反論がくるでしょう。
帰る前に他の仕事もやるべき
上司は残業しているんだから、上司が帰るまで残るべき
定時で帰るのは印象が悪いから駄目だよ
これに対しては、優秀だからこそ効率的な働き方ができるため、他の仕事をこなす余裕があるかもしれません。
上司が残業しているからといって、無理に残業する必要はなく、自分の仕事を効率的にこなしていることが評価されるべきです。
印象が悪いというのも主観的な意見であり、優れた成果を上げることが最も重要であるべきです。
つまり、「優秀だから定時で帰る」ことは、本当に問題ないと言えるでしょう。
よくある主張①:他の仕事もやれ
「デキる人は定時で帰らないべきだ」という主張には、「他の仕事もやれよ!」という意見が裏に潜んでいることがあります。
他の仕事とは、同僚や上司の未完了な仕事、または誰がやってもよいタイプの仕事などを指します。
この考え方には、速く仕事をこなし、何時間もの残業をこなしてまわりの仕事も引き受け、全てをこなすことが「仕事のできる人」の証明だという意識が基になっている可能性があります。
しかし、残業してまで他の仕事をする必要性は必ずしも存在しません。法的にも、残業は業務上の必要性がある場合に限られます。
労働基準法や労働契約、就業規則などで細かく規定されているはずで、無制限に仕事を押し付けることは許されないでしょう。
また、会社は同じ立場の従業員に同じ給料を支払う傾向があります。したがって、デキる人に大量の仕事を押し付け、デキない人の負担を軽減することは、デキる人にとっては公平でない職場環境を生み出す可能性があります。
デキる人だけが退職すると、残ったのはデキない人たちだけになり、職場の状況が悪化する可能性があります。これが続くと、職場の雰囲気や生産性が低下する可能性があります。
したがって、「他の仕事もやれよ!」という主張は、実際には理にかなっていないだけでなく、組織にとっても望ましくない結果を招く可能性があると言えます。
よくある主張②:上司が帰るまで残れ
「上司がまだ残業してるんだから、帰るなよ!」という主張も、よく見られる意見の一つです。
日本の企業文化において、「部下は上司より先に帰ってはいけない」という不文律が存在し、上司が帰る前に帰ることは忌避されることがあります。これにより、上司が帰る時間まで残業を強いられることがしばしばあります。
しかし、この主張にはいくつかの問題があります。
仕事が終わっていないのに上司に仕事を押し付けて帰る場合: これは理解されるべきではありません。仕事が残っている状態で帰ることは不誠実であり、上司や同僚に迷惑をかけることになります。
仕事が終わっているのに上司が帰るまで待つ場合: これは時間の無駄であり、家族や趣味、他の重要な活動に費やすことができる時間を失うことになります。このような状況では、仕事の成果よりも単なる姿勢やポリシーが重視されることが問題です。
また、「上司が定時で帰れないのは、その上司の問題で、部下には何の関係もない」との指摘も理にかなっています。上司が定時で帰れない状況は、その上司や会社の業務命令の問題であり、部下が犠牲になるべき問題ではありません。
部下が仕事を遅くすることで上司の帰宅時間に合わせるという行動も、仕事スキルの低下や効率の悪化を招く可能性があり、本質的な解決策ではありません。
このような状況は、組織文化や業務プロセスの見直し、効率的な仕事の進め方の模索が必要です。
よくある主張③:定時で帰るなんて、印象悪いよ
「定時で帰るなんて印象が悪いから、帰らないほうがいいよ!」という主張も一般的です。この意見は、定時で帰ることが仕事に真剣に取り組んでいないと見られ、出世に悪影響を与える可能性があるという考え方に基づいています。
ただし、この主張にはいくつかの観点から反論できます。
印象よりも実績が大切: 実際に仕事をこなし、成果を上げることが出世に繋がるべきです。仕事が終わったなら、残業することなく効率的に働くことも一つの賢いアプローチです。
個々の目標による違い: 出世が目標でない場合、家庭や趣味、プライベートな時間を大切にし、無理なく働くことも重要です。会社の上層部との良好な関係が全てではありません。
ドライな接し方も選択肢: 出世が目的でない場合、無理に印象を良くしようとせず、ドライに会社と向き合うことも一つの選択肢です。ただし、これは組織文化や業界によって適さない場合もあります。
業務に対する柔軟な姿勢: 出世を目指していない場合でも、業務に対して柔軟な姿勢を持ち、困難な仕事にも前向きに取り組むことは良い印象を与える可能性があります。
総じて言えることは、仕事に対する姿勢や価値観は個人によって異なり、印象が悪いとされる行動が必ずしも問題ではないということです。各人が自身の目標やバランスを見極め、仕事とプライベートの両面で充実した生活を築くことが大切です。
定時で帰る人は仕事ができない!は「気にしない」
以上が、「定時で帰る人は仕事ができない」という言葉に対する検証と反論、およびその言葉に対する気にしないスキルの重要性についての考察でした。この言葉は個々の状況や価値観によって異なり、単純な判断基準とは言えません。
仕事の能力や成果は、働き方や働く環境によっても変わります。定時で帰ることができるかどうかは、働く状況や個々の能力だけでなく、組織文化や上司の理解も影響します。大切なのは、自分の価値観や目標に合わせて働き方を見つけ、他者の評価に囚われずに仕事とプライベートのバランスを取ることです。
「気にしないスキル」を身につけ、自分の働き方に自信を持つことが重要です。他者の言葉や期待に振り回されず、自分が納得できる働き方を見つけることで、ストレスを軽減し、仕事もより充実したものになるでしょう。