被害妄想が頻繁に浮かぶ個人は、一旦その信念が根付くと、なかなかその見方を変えることが難しい傾向があります。
被害妄想が強まると、周囲の人々への信頼が損なわれ、結果として自身の幸福感に悪影響を及ぼすことがあります。
被害妄想が強まる要因やその克服方法について、以下で詳しく解説いたします。
被害妄想が強い人の特徴
感情的
感情に振り回される傾向のある被害妄想の方は、冷静な判断よりも感情に基づいて物事を見ることがあります。
客観的な視点ではなく、出来事に直感的な反応を示すことが一般的です。
感情に左右されがちなので、被害を受けたときに怒りや悲しみに飲み込まれ、被害妄想が一層強まることがあります。
視野が狭い
視野が狭い被害妄想の傾向を持つ方は、思い込みが強いです。
他者の冷淡な態度に対して、「あの人は私を嫌っている」といった主観的な判断をしがちです。
広い視野があれば、「何かしらの理由で機嫌が悪いのかもしれない」「体調が悪いのかもしれない」といった他の可能性も考えられるでしょうが、視野が狭いとそういった考えが難しくなります。
ネガティブ
物事を否定的に考える傾向のある人は、被害妄想に陥りやすいです。
例えば、「真面目だね」という言葉に対して、「堅苦しい」「つまらない」といったネガティブな解釈をしやすいです。
自分の思い込みから他者の言葉を誤解し、敵意を抱くことがあります。
疑い深い
疑い深い被害妄想の方は、簡単に他人を信用しません。
友人や恋人でさえも疑念を抱き、些細なことから「私を馬鹿にしている」「その態度は裏切りだ」といった被害妄想が生じます。
疑い深い人は他人を信じる・信じない以前に、自分自身を信じることが難しい場合があります。
自意識過剰
自意識過剰な被害妄想の方は、何でも自分に結びつけて考えがちです。
知らない人が笑っていたら、「自分が笑われているのではないか」と感じたり、噂をしていたら「自分のことを話題にしているのではないか」と考えたりします。
何らかの原因で自意識が過剰になり、他人の目を気にしすぎる傾向があります。
人に相談しない
悩みを誰にも相談しない傾向の被害妄想の方は、一人で悩みを抱え続けることがよくあります。
他者に相談すれば、誤解だった可能性に気付くこともあるでしょうが、一人で悩むことで妄想が一層強まることがあります。
攻撃的
攻撃的な態度を持つ被害妄想の方は、普段から他人を攻撃する傾向があります。
自分が攻撃的であるため、他者からも攻撃されると考えがちです。
人間関係を競争や敵対関係として見る傾向があります。
かまってちゃん
被害妄想が強い人の中には、かまってちゃんの傾向が見られることがあります。
自分が可哀相であれば、他者が気にかけてくれるのではないかと期待します。
周囲の同情を引くために、自分が被害者であると考えることがあります。
クレーマー気質
クレーマー気質の被害妄想の方は、様々な不満を声に出してしまいがちです。
何でもかんでも悪いところを見つけ、その部分を指摘して自分が被害を受けたと感じることがあります。
白黒思考が強く、損をしたくないという気持ちが強い人です。
被害妄想が強い人の心理・原因
裏切られたくない
被害妄想を抱く人は、他者による裏切りの可能性から疑念を抱くことがあります。
疑念が強まると、「あの人は私を欺こうとしているのではないか」といった被害妄想が生まれやすくなります。
過去に裏切られた経験や見捨てられた記憶がある場合、人間関係に対するトラウマが影響している可能性があります。
自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人は、他者から見下されていると感じやすく、被害妄想が強くなることがあります。
自分に価値がないと考えるため、周囲から笑われたり軽蔑されていると勘違いしやすいです。
コンプレックスが存在する場合、関連する話題に触れることで被害妄想が発生しやすいです。
損得勘定が強い
損得勘定が強い人は、被害妄想につながることがあります。
損を感じると被害者意識が生まれ、相手に対して不快な感情を抱くことがあります。
損をした分を取り戻そうと文句を言うなど、クレーマー気質になりがちです。
自己愛が強い
自己愛が強い人は、被害妄想を抱くことがあります。
自己愛が強いため、他者が幸せそうで優れていると感じると、嫉妬や嫌悪感が生まれやすいです。
自分を脅かす存在として他者を攻撃的に見ることがあり、敵視の対象となることがあります。
嫌われたくない
他者からの良い印象を強く求める人は、人の評価が気になります。
人目を気にして自己意識が過剰になり、同時に他者に嫌われないか、笑われないかという恐れを抱くことがあります。
心配性
心配性な人は、何事も最悪の状態を予測しやすいです。
心配事が増えると、対策を考えることもありますが、心配だけが残り不安に振り回されやすくなります。
思春期
思春期は感情が不安定で神経が過敏になりやすい時期であり、被害妄想が強まることがあります。
自身のイメージに対する過剰な気遣いや他者の視線に対する過敏さが現れることがあります。
ただし、思い込みが強く現実と妄想の区別がつかない場合、思春期妄想症の可能性が考えられます。
家庭環境
親が被害妄想の傾向があると、子供も同様の意識や考え方を身につけることがあります。
また、幼少期における被害者意識が、今日の被害妄想に影響を与えている可能性も考えられます。
病気
現実的でない妄想や理論的な説明が理解できない場合、精神疾患の可能性があります。
統合失調症などの精神疾患では、妄想と現実の区別がつかなくなることがあります。
認知症の場合は、幻覚や幻聴、物取られ妄想のような被害妄想が発生することがあります。
被害妄想が強いときの直し方
自分と関連付けない
被害妄想が強い人は、他人が笑っている光景を目撃すると、自分が笑われているような気分になることがあります。
しかしながら、実際には友人同士が楽しい会話をして笑っているだけであり、それが自分とは無関係な出来事です。
自意識が過剰になると、何でもかんでも自分と結びつけがちですが、他人はそこまで自分に注意を払っていないことを理解しましょう。
「笑われた」という思いこみではなく、「笑い声が聞こえた」と、自分の考えと実際の出来事を区別する意識を持つことが重要です。
相手の立場になって考える
被害妄想が強い人は、他者に無視されたり冷たい態度を受けると、相手から嫌われていると想像しがちです。
しかしながら、相手の立場から見れば「声が聞こえなかっただけ」「疲れていて余裕がなかっただけ」など、別の可能性も考えられます。
一つの思い込みに捉われるのではなく、相手の視点を理解し、複数の可能性を検討してみましょう。
対策を考える
被害妄想が湧き上がってきたら、対策を考えてみましょう。
無駄な心配に囚われるよりも、「もし○○なら、○○する」という具体的な対処法を考えることで、被害妄想から解放される可能性があります。
悩み事に対する解決策を同時に考える習慣を身につけることが大切です。
悪い面ばかり見ない
被害妄想が強い人は、他人や出来事の否定的な側面に焦点を当てがちです。
どんな状況でも、良い面も見つけようと思えば見つかりますし、逆に悪い面にフォーカスすればそれが強調されます。
良いも悪いも人間が作り出した観念であり、自分の見方によって変わるものです。ポジティブな視点を持つことが重要です。
自分を尊重する
被害妄想が強い人の中には、自分に対して厳しい傾向や、自己肯定感が低く自分を大切にできない人がいます。
自分を認めず、尊重する気持ちがないと、他人に対しても大切にされていないような被害妄想が生まれることがあります。
現在の状況や自分自身を受け入れ、「頑張って生きている自分は偉い」といったポジティブな感覚を育むことが重要です。
被害妄想が強い人との付き合い方
妄想を否定しない
妄想と現実の区別がつかなくても、そのことには避けるようにして話を聞いてみましょう。
妄想を信じないようにと言ったり、論理的に説明しても、区別がつかない人は理解してくれないことがあります。
自分の悩みが否定されると、「誰も私を理解してくれない」と人間不信に陥り、妄想を強める原因にもなります。
妄想の内容よりも、何に不安を感じて妄想が生じるのか、根本的な原因を理解することが肝要です。
相談に乗る
被害妄想がある人は、強い不安やストレスを抱えていることがあります。
日常で感じている不安や困難な状況を聞き出し、共感することで相手の気持ちを理解しましょう。
相手の悩みに寄り添い、一緒に解決策を模索するか、手助けを提供することで、悩みが軽減される可能性があります。
不安を煽るようなことを言わない
被害妄想が強い人は、不安を煽るような言葉に敏感に反応します。
不安を助長するような話題は避け、安心感を与えられるようなトピックや表現に気を使いましょう。
別の可能性を話す
被害妄想が強い人は、一度信じた考えを変えることが難しい傾向があります。
例えば、他者から嫌われていると決めつけている場合には、「その人はただ忙しくてイライラしているだけかもしれないよ?」など、別の可能性を提案してみましょう。
外部の意見は被害妄想が強い人にとって新たな視点をもたらし、物事の捉え方を変える手助けになります。
休んでもらう
真面目で責任感が強い人は、妄想が生まれるほど自分を追い込んでいることがあります。
こうした場合には冷静に状況を見つめ、リラックスできる時間を確保することが重要です。
無理を強いられてもプラスになることはないため、今の焦点から距離を置いて休息することも考慮してください。
相談する
被害妄想が強い場合、それがただの思い込みでなく病気に関連していることもあります。
例えば、「いつも誰かに監視されている」「お金が盗まれる」「命を狙われている」といった病的な妄想がある場合は、医師に相談することが検討されます。