“楽観的に過ごそう”、”前向きな態度でいよう”
私たちの日常生活では、「ポジティブ」や「前向き」などの言葉をよく使いますね。
実際、英語で「ポジティブ」を見ると、その意味に「前向き」が含まれていることが分かります。
「ポジティブ」と「前向き」は、似たような意味で使われることがありますが、無意識のうちに使い分けていることもあります。
しかし、実際には「ポジティブ」と「前向き」にはどのような違いがあるのでしょうか。
実は違うポジティブと前向き
ポジティブと前向きの本質
“積極的に考えよう”、”前に進んでいこう”
ポジティブも前向きも、根本的には”未来を見据える”という点で変わりありません。
違いは、ポジティブは将来の展望を積極的かつ肯定的に受け止め、行動に移すことです。
具体的には、ポジティブはプラスの感情を物事に注ぎ込むことで、肯定的に物事を考えたり行動したりします。
ポジティブとは、事柄に肯定的な要素を加えることです。この視点では、良い側面に焦点を当てて行動や考えを展開します。
ただし、物事には良い要素だけでなく、悪い要素も存在します。プラスの感情を持ち、肯定的に見ることは
全体を見ることを意味せず、事実を全体として把握しないことになります。
一方で、”前向き”は文字通り”前を向く”ことで、未来を見つめて進むことを指します。
その過程でプラスやマイナスの要素が含まれます。事実をそのまま受け止めます。
ポジティブのように肯定的に見るのではなく、”~のようなことが起こるかもしれない”といった問題の可能性を含めて前に進みます。
プラスの要素だけでなく、マイナスの可能性にどう対処するか、または乗り越えていくかを考えることが大切です。
こうすることで、起こりうる問題に備えながら前進する姿勢が、ポジティブとの違いです。
ポジティブは積極的で”大丈夫!”、”やってみよう!”、”なんとかなる!”といった行動に満ちています。
一方で前向きは、物事の事実を把握し、静かに前進していくものです。
ポジティブ
“ポジティブな人”や”ポジティブ思考”という言葉はよく耳にしますね。
だれもがネガティブよりもポジティブの方が良いと思うでしょう。
ポジティブな姿勢は、さまざまなチャレンジに積極的に挑戦し、それが自己信頼心を高める一因となります。
失敗しても、くよくよせずに”大丈夫!”と自分に言い聞かせるところが素晴らしいと言えます。
しかし、常に”ポジティブであれ!”という状態は、無自覚のうちに心の疲れを招くことがあります。
人間はネガティブな面を持っているものです。
ネガティブを否定的に捉えずに、”黒か白か”にせず、その中間に立つことができれば、
事実をそのまま見ることができる”前向き”な態度になるでしょう。
前向き
未来を見つめ、物事を考えること。
これが、前述のようにポジティブと同じように使われるポイントです。
ポジティブは感情をプラスにすることで、進んでいくことを目指します。
対照的に、”前向き”は未来に向けて進みながら、そこに潜む問題にも目を向けます。
そのため”大丈夫!”、”なんとかなる!”と自分に言い聞かせるポジティブとは異なり、
問題が浮かんできた際に心配や不安を感じることもあります。
そのため対義語である”後ろ向き”になることもあります。
将来問題になるかもしれないことに向き合い、対処法を考えることが”前向き”だとすると、
ポジティブと前向きには物事の本質の捉え方として違いがあります。
英語のポジティブ=前向き
“ポジティブ思考”としてのポジティブはもともと、英語の”positive”から派生しています。
“positive”は、積極的な、前向きの、楽観的な、建設的なといった意味を持っています。
日本語でpositiveを使った表現を見てみると、
“feel positive” = 前向きな気持ち
“be positive” = 前向きでいる、ポジティブでいる
“positive person” = 前向きな人、ポジティブな人
“positive attitude” = 前向きな姿勢
といった風に、ポジティブは”前向き”と同じように使われていることが分かりますね。
ポジティブと前向きの使い方
ポジティブ
・失敗は成功のための学びだと
前向きに捉える
・彼女は何かあってもくよくよしない
前向きな人だ
・ポジティブ思考になれと言われても難しい
・ポジティブな人は行動が早い
・ポジティブな人は自己肯定感が高い
前向き
・前向きな提案をする
・前向きに検討する
・困難があっても前向きに生きる
・前向きな話し合い
・前向きに考える
置き換えても違和感のないものもありますが、一部の文においては置き換えることで意味が変わってしまう可能性もありますね。これは、ポジティブと前向きが同じ意味で使われる場合もあれば、微妙に異なるニュアンスを持つ場合もあるからです。言葉の使い分けは、状況や文脈によって微妙な違いを表現するために重要です。
ポジティブと前向きの違い|まとめ
日本語においてポジティブと前向きは一般的に同じような意味で使われがちです。しかしながら、実際には微妙な違いが存在し、その違いが文脈によって重要になることもあります。
日本人が無意識に使い分けることもあるかもしれませんが、それは文脈や状況に応じて微妙なニュアンスを表現しようとするからかもしれませんね。例えば、ポジティブはより感情的な側面を含み、前向きはより客観的で現実的な態度を指すことがあります。
意識せずとも、言葉の微妙な使い分けがコミュニケーションにおいて重要な要素となり得るのは、日本語の表現の奥深さゆえかもしれません。