この記事は、「夫がいつもリビングの床で寝ちゃって健康被害が心配」や「朝なかなか起きられないから床で寝たらすぐに起きられるかな？」といった方々に向けて執筆されました。
まず結論から言うと、床で寝ることにはメリットは少なく、デメリットは大きいため、おすすめできません。ただし、これは全ての人に当てはまるわけではなく、毎日床で快適に眠り、健康を維持している人も存在します。
個々の体質や生活習慣によりますが、一般的には床での睡眠はおすすめしづらい傾向があります。したがって、できれば薄い直置き用マットレスを敷くなどの工夫をすることが望ましいでしょう。これにより、寝具のサポートを得ながら快適な眠りを追求することができます。
固い床で寝るメリット（といわれているもの）
床で寝ることにはいくつかのメリットがあると言われていますが、それらが本当に有益なのか、順を追って検証してみましょう。
まず、猫背の改善・解消というメリットが挙げられます。現代社会ではデスクワークが増え、猫背の悩みを抱える人が増加しています。床で仰向けに寝ると背骨が伸び、猫背が改善されるとされていますが、これはあくまで俗説であり、医学的な根拠はありません。実際には姿勢改善のためには定期的なストレッチが効果的です。
次に、床で寝ることによるノミやダニの繁殖心配がないというメリットがあります。しかし、現代の寝具はノミやダニが繁殖しにくい素材や抗菌・防虫処理が施されており、この心配はあまり必要ありません。床で寝ることがノミダニ対策になるというのは過去の誤った情報に基づいたものです。
また、「部屋が広く使える」という声もありますが、寝具を畳んでしまえば同じスペースが使えるため、この点において床で寝るメリットは限定的です。
最後に、「床で寝ると朝スッキリ起きられる」という主張がありますが、実際には硬い床の上での睡眠は浅く、熟睡が難しい傾向があります。眠りが浅いと体の疲れが十分に取れず、学業や仕事に影響を及ぼす可能性があります。
一部の人にとっては固い床での寝心地が好ましいと感じることもありますが、体重の一部が集中することや圧迫による血流の阻害を考えると、生理学的にはおすすめしづらい状況です。個々の体質や好みによって床で寝ることが適している場合もありますが、一般的には慎重に検討することが重要です。
固い床で寝るデメリット
床で寝ることに対するメリットとして言われるものは、その裏に根拠が乏しいと言えますが、一方でデメリットに関してはっきりとした点が数多く存在します。
まず一つ目のデメリットとして挙げられるのは、「体が痛くなる」という点です。床は一般的に硬く、寝返りを打ちにくいため血液の循環が悪化し、筋肉の緊張が解けず肩や背中、腰の痛みが悪化する可能性があります。この痛みが続くと、日常生活に支障をきたすだけでなく、将来的には重大な体調不良の引き金となりかねません。
次に、「冬場は寒くて寝られない」という問題が挙げられます。床は暖房が及びにくく、特に冬季になると温度変化が少ないため、快適な睡眠環境を確保することが難しくなります。床暖房やホットカーペットの利用も考えられますが、電気代や低温火傷のリスクがかかるため、実現が難しいこともあります。
寝返りが取りにくいという点も大きなデメリットです。床の上は一般的に硬く、クッション性や反発力が不足しています。寝返りは睡眠中に自然な行動であり、これが制限されると腰や首に負担がかかり、良い睡眠が得られません。
最後に「ホコリやハウスダストを吸いやすい」という点も検討すべきデメリットです。床には日常的に溜まるホコリやハウスダストが存在し、これを吸い込むことで呼吸器系に悪影響を与える可能性があります。寝具を使用することで、床との距離を保ちつつ、睡眠環境を改善することが重要です。
固い床で寝る健康効果を主張している公的機関・医療機関はない
床や硬い板の上で寝ることを健康法として推奨している民間団体は存在しますが、一方で公的機関や医療機関は床で寝る健康効果を積極的に主張していません。信じるかどうかは個々の自由ですが、注意が必要です。
健康法を信じることには何ら問題はありませんが、床での睡眠が一般的な公的機関や医療機関によって推奨されているわけではないことを理解しておくべきです。厚生労働省が公開している研究結果や、奈良女子大学の論文によれば、硬すぎるマットレスが快眠に寄与しないとされています。床はそれ以上に硬いため、この結論はさらに強調されるでしょう。
結論：健康のためにマットレスを敷いて寝よう
床で寝る際のメリットとデメリット、そして健康への効果について解説してきました。メリットに関しては根拠が不十分である一方、デメリットは具体的に挙げられます。
簡潔に言えば、床で寝るメリットは小さく、デメリットは大きいため、床で寝ることはお勧めできません。
理想的な寝具としては、ベッドフレームにマットレスをセットすることが挙げられます。この組み合わせは熱や湿気のこもりを防ぎ、快適な睡眠環境を提供します。
もしベッドを使いたくない場合、直置きタイプのマットレスを近くに置くことも良い手段です。クッション性のある寝具を導入することで、血流が悪化するリスクを軽減し、健康の維持に寄与します。
血流が悪くなることは健康にとって何ら良いことではありません。ですので、できるだけ早くクッション性のある寝具を導入し、病気予防に努めることが重要です。
