「玄米びっくり炊き」という料理テクニック、お聞きになったことはありますか？
この「びっくり炊き」は、秋田地方に古くから伝わる玄米を速やかに調理する方法です。
浸水せずにご飯を炊くと、玄米の自然な栄養成分が健康に影響を及ぼす可能性があるとの懸念があります。
この記事では、以下のポイントに焦点を当てています：
1. 玄米びっくり炊きが健康に悪いと言われる理由
2. 玄米を美味しく炊く方法のご紹介
3. 鍋を使って玄米を炊く方法のアイデア
玄米びっくり炊きの魅力とリスクについて、詳しくお話ししましょう。
玄米のびっくり炊きは体に悪い？
「びっくり炊き」と呼ばれる玄米の調理法が、健康への影響について考察してみましょう。多くの人がこの方法を体に悪いと考えていますが、実際のところ、それほど心配する必要はないかもしれません。
それでは、なぜ「びっくり炊き」が体に悪いと見なされているのでしょうか？
主な理由は、アブシジン酸とフィチン酸という2つの成分に関連しています。
まず、アブシジン酸について考えてみましょう。アブシジン酸は植物が発芽を阻止するためのホルモンであり、これが人間の細胞内のミトコンドリアに影響を及ぼし、健康に悪影響を与える可能性があると言われています。アブシジン酸は玄米の発芽を抑制するための成分であり、玄米を発芽させることでその効果は中和されます。したがって、「びっくり炊き」で発芽させずに調理する場合、アブシジン酸が体に悪影響を及ぼす可能性があると指摘されています。
ただし、アブシジン酸を含む食品は玄米だけでなく、微量しか含まれていないことから、内閣府食品安全委員会によれば、これは安全とされています。したがって、玄米のびっくり炊きが健康にリスクをもたらす可能性は非常に低いと考えられます。
それでも不安を感じる場合は、12時間から36時間の間に浸水させて発芽させた後に調理することをお勧めします。季節によって浸水させる時間が変わることに留意してください。
次に、フィチン酸について考えてみましょう。フィチン酸は、鉄や亜鉛などの必須ミネラルと結びつき、これらの吸収を妨げる可能性があると言われています。これがミネラル不足を引き起こすと考えられています。
特に、浸水せずに調理された「びっくり炊き」の玄米ご飯は、フィチン酸の量が減少しないため、一般的には健康に悪影響を及ぼすと考えられています。しかし、この理解には誤解が含まれています。
実際には、玄米に含まれているのはフィチン酸ではなくフィチンという成分です。フィチンはミネラルと結びついた形で存在し、体内で分解されることで初めてフィチン酸となります。この過程において、フィチンは実際にミネラルを体内に運搬し、ミネラルの吸収を助ける可能性があるのです。言い換えれば、玄米がフィチン酸のせいで健康に悪いという通説は、実際には誤解に過ぎません。
玄米は浸水なしでも炊ける
通常、玄米を炊く際には事前に水に浸します。これは、浸水させることで玄米が発芽直前の状態になり、アブシジン酸という成分の毒性を低減させるためです。
しかし、浸水せずに玄米を炊く方法も存在します。この場合、アブシジン酸を含んだまま炊くことになりますが、これが直接的に健康に害を及ぼすわけではありません。
特に忙しい時に長時間浸水させることが難しい場合、「びっくり炊き」という方法が非常に便利です。
この方法では、洗った玄米を玄米の1.2倍から1.5倍の水で炊きます。手順は以下の通りです：
1. 沸騰したら、約15分間水が完全になくなるまで煮ます。
2. 玄米がパチパチと音を立て始めたら、玄米の0.8倍から1.2倍の量の冷水を加えてよくかき混ぜ、再び煮立たせます。
3. その後、10分から15分ほど強火で煮て、その後10分ほど弱火で炊き上げます。
4. 火を止めてから10分から15分ほど蒸らせば、美味しい玄米ができあがります。
この方法を使用すれば、特別な炊飯器が必要なく、手軽に美味しい玄米を楽しむことができます。
玄米を美味しく食べる炊き方は？
玄米はダイエットや健康のために良いとされていますが、白米と比較して硬さやパサつきを感じることもあるでしょう。玄米をより美味しく、ふんわりと炊き上げるコツは、やはりしっかりと水に浸すことにあります。
以下は、玄米を美味しく炊き上げる手順です：
1. まず、玄米を適量計り、ザルやボウルに入れて、表面についている汚れを丁寧に洗い流します。玄米は白米のように研ぐ必要はありませんが、優しくもみ洗いすると表面の糠が傷つき、水をより吸収しやすくなります。
2. 洗った玄米を炊飯器に移します。このとき、1合の玄米に一つまみの塩を加えると、水をよく吸収し、カリウムの苦味も和らげてくれるため、美味しく炊き上がります。
3. 炊飯器を使用する場合、玄米の量の1.6倍の水を加えて、約6時間浸します。さらに、冷蔵庫で24時間浸すと、よりふんわりとした玄米が炊けます。
4. もし炊飯器に玄米炊きのコースがある場合、玄米の水位計に合わせた水を入れるだけでOKで、特別に浸す時間は必要ありません。
玄米の浸水時間を短縮したい場合、40℃のぬるま湯で浸すと、通常の半分の時間で十分な吸水ができます。炊く際には、この浸水した水は捨て、新たに玄米の1.1倍から1.2倍の水を加えて炊きます。
鍋で玄米を炊く場合の手順は以下の通りです：
1. 水に浸した玄米と1.1倍から1.2倍の水を入れ、中火にかけます。
2. 水が沸騰したら弱火に切り替え、約30分間炊きます。チリチリという音がするのが炊き上がりの合図です。
3. その後、強火で10秒間加熱して水分を飛ばし、火を止めてから20分間蒸らせば、美味しい玄米が完成します。
玄米をよりふっくらと炊き上げるには、圧力鍋を使用することもおすすめです。圧力鍋を使う場合、強火で重りが動き始めたら1分間炊き、その後弱火で20分間炊き続けます。最後に30秒ほど強火で加熱して水分を飛ばし、圧力が下がるまで待てば、美味しい玄米ができ上がります。
まとめ「玄米のびっくり炊きが体に悪い」はウソ！
「玄米のびっくり炊きが体に悪い」という主張は誤解です。
「玄米のびっくり炊き」として知られる特別な調理法が健康に悪いと主張されることがありますが、これは誤りです。
アブシジン酸と呼ばれる「玄米毒」の量は、健康に害を及ぼすほど多くは含まれていません。
また、フィチン酸の存在も誤解です。実際には、フィチンが存在しても、体には影響を与えません。
もし、よりもちもちとした玄米の食感を好むのであれば、しっかりと水に浸けてから炊くことをおすすめします。
びっくり炊きの方法では、煩雑な浸水手順は不要です。
さらに、水に短時間で浸す場合には、ぬるま湯を使うと効果的です。
健康志向が高まっている今、美味しくて健康に良い玄米の食事を楽しんでみましょう！
