ギターのカポタスト、あれは弦を押さえる便利なアイテムです。でも、どうしてもなくしてしまったり、壊れてしまったりすることもあるものです。
今回は、ギタリストの皆さんに向けて、カポタストが手元にないときの代用品や自作方法についてお伝えしたいと思います。
目次
カポの基本的な使い方や特徴
ギターのカポタストの基本的な使い方に入る前に、まずはギターのチューニングについて確認しておきましょう。ギターは通常、6本の弦から成り立っており、それぞれに特定の基本的なチューニングキー(レギュラーチューニング)が割り当てられています。
6弦: E
5弦: A
4弦: D
3弦: G
2弦: B
1弦: E
左手でフレットを押さえることで、和音やコードを鳴らすことができます。ただし、開放弦を含むコードには限界があり、例えばBやFといったコードでは左手の人差し指で6弦全体を押さえる必要があります。
これがいわゆるバレーコードやセーハと呼ばれるもので、BやFコードだけでなく、開放弦を使ったコードもバレーコードが存在します。
バレーコードからの解放
時折、曲によってFコードなどのバレーコードが頻繁に登場することがあります。こういった場面では、カポタストを利用することで簡単な押さえ方で対応できます。
特にアーティストの楽曲を演奏する際に、コード表に♯(シャープ)や♭(フラット)が付いている場合、バレーコードが頻発することがあります。アコースティックギターの太い弦でこれらのコードを押さえ続けるのは初心者にとっても大変な作業ですが、カポタストがこの難しさを解消してくれます。
キーの移調をスムーズに
歌を歌おうとする際に、原曲のキーが合わずに歌いづらいと感じることがあります。このような場合、カポタストはキーの移調をスムーズに行える便利なツールです。
通常、原曲のキーを変更すると押さえ方も変わるはずですが、カポタストを使用することでおおよそ原曲の押さえ方のまま対応できます。
音色の雰囲気にも影響
カポタストは単なる押さえ方の簡略化やキーの移調のためだけでなく、ギターの音色にも影響を与えます。カポを使うことで、開放弦の支点が短くなり音色が高くなるため、演奏の雰囲気や印象も変わります。
実際、音色の雰囲気づくりのためにカポを意図的に使用するアーティストも珍しくありません。これらの要素からもわかるように、カポタストはギタリストにとって非常に多岐にわたる利点を持つ便利なツールなのです。
ギターのカポの代用品を選ぶポイント
カポタストの代用品を選ぶ際には、全ての弦をしっかり押さえられるかどうかが重要なポイントです。このためには、ギターのネックの幅を十分にカバーできる長さが必要です。ただし、あまりにも長すぎると演奏時に邪魔になる可能性があるため、適度な長さを考慮することが重要です。
また、代用品として選ぶ際には一定の耐久性も重要な要素となります。通常、カポタストの素材はアルミやステンレス、樹脂が使用され、弦を押さえる部分には硬めのゴムが使われています。各ギターの弦の張力や特性を考慮し、十分な耐久性を持つ代用品を選ぶことが望ましいです。
アコースティックギターは弦の張力が高く、初心者にとってはバレーコードが難しいことがある一方、クラシックギターはネックが広く、慣れが必要ですがナイロン弦を使う場合はアコースティックギターよりも弦を押さえやすい印象があります。エレキギターは弦が細く押さえやすい特性があり、バレーコードも簡単に弾けることが一般的です。
取り外しの容易さも重要なポイントです。曲によって押さえるフレットの位置を変える必要がある場合、取り外しやすい代用品を選ぶと便利です。演奏の練習ではあまり気になりませんが、ライブ演奏などではタイミングを考慮して取り外す必要が生じるかもしれません。
ギターのカポの代わりになるもの
ペンとヘアゴムを使用したギターのカポ代用は、特に注目すべき点があります。それは、ペンがゴムクリップ付きであるということです。このゴムクリップがヘアゴムに対して良い滑り止めとなり、固定バランスだけでなく取り外しもスムーズにできそうです。ペンを代用する際には、弦が触れる部分がフラットでなければならず、ざらつきや継ぎ目があると音が途切れる可能性があることに留意する必要があります。
ペンチと輪ゴムを使ったギターのカポ代用も一つの手段です。特にペンチの持ち手がしっかりとした弦の押さえ役を果たしてくれそうです。ネック指板が曲面になっているため、ペンチの持ち手が緩く湾曲していてゴムカバーがついているタイプがフィットしやすいかもしれません。ただし、ペンチの重量が演奏性に影響を与える可能性があるため、適切な大きさのものを選ぶことが重要です。
割り箸と輪ゴムを使用した代用方法は手頃で試しやすいというメリットがあります。ギターのネックの幅に合わせてサイズを整えられるのも利点で、柔らかい素材の割り箸を指板に合わせて使いやすさを追求することができます。
短い鉛筆と輪ゴムを使用した代用方法も手頃で試しやすいです。短い鉛筆の方が演奏の邪魔になりにくく、輪ゴムの代わりに凧糸やヘアバンドを利用することも考えられます。これらの代用品は使い勝手や演奏に与える影響を検討しながら選ぶと良いでしょう。
あると便利なカポタスト
ギターの演奏において、カポタストは必須アイテムとまでは言えないかもしれませんが、経験者であろうと初心者であろうと、持っておいて損はありません。
初心者がカポを使用することで、バレーコードの押さえ方のコツを掴むのに役立ちます。難しそうなコードでも、簡単な押さえ方で演奏できる場合があり、学習の助けになります。
さらに、1本のギターで曲ごとに音の雰囲気を変えたり、2本のギターで同じコード進行を演奏する際に、一方が解放コードである一方がカポを使ってコードを弾くことで、曲に深みを与えることも可能です。
カポタストには市販のもので大きく5つのタイプがあり、価格帯は500円から2000円前後となります。ただし、価格だけでなく、使いやすさを優先して選ぶと良いでしょう。
さらに、クラシックギター用、アコースティックギター用、エレキギター用といったカポタストの種類があります。購入の際は使用するギターに合わせて選ぶことが重要です。それによって、最適な演奏体験を得ることができます。
タイプ別カポタストの特徴
クリップタイプのカポタストは、本体のバネによってネックに挟み込む設計で、着脱がワンタッチで行えるため、曲ごとにカポの位置を調整するのが簡単です。特に弾き語りの際にカポを使う曲がある場合、手間取ることなく使いやすく、使わないときにはギターのヘッドに挟んで置けるので非常に便利です。
ネジタイプのカポタストは、本体のネジで固定され、位置の微調整が可能で安定性があります。着脱に多少時間がかかるため、ライブで使用する際は演奏のタイミングを考慮する必要がありますが、安定した精度が求められる場面で適しています。
ゴムベルトタイプのカポタストは、比較的安価であり、初心者にも手頃な選択肢です。調整は2ヶ所の留め具だけでほとんどのギターネックに対応できますが、ゴムベルトの経年劣化により精度が落ちる可能性があるため、使わないときは保管に気を付ける必要があります。
レバータイプのカポタストは、クリップタイプに似ていますが、ネックに挟んだ後にレバーで固定でき、微調整も可能です。取り外しも慣れれば片手でできるため、ライブでの使用や本格的なレコーディングに向いています。
ローラータイプのカポタストは、半音で転調する曲に対応し、ネック上でスライドができる特徴があります。転調コードを使わずに演奏する場合に活躍し、ソロでアコースティックギターを演奏する際には転調コードもシンプルに押さえることができます。初心者には敷居が高いかもしれませんが、演奏性を求める際には検討の余地があります。
ギターのカポタストがない時の代わりや自作方法まとめ
今回はギターのカポタストの代用品や作り方についてお話を進めてきましたが、いかがでしたでしょうか。
手軽にできそうな代用品としては、割り箸や鉛筆をゴムで巻き付ける方法が挙げられますが、これらの代用品が必ずしも本物のカポタストを使用した際の音を再現できるかどうかは確実ではありません。
また、使用するギターや状況によって代用品の適性が微妙に変わることも予想されます。工夫を凝らして設置や固定を工夫することで、代用品を使う際の使い勝手が向上するかもしれません。
もしも本物のカポタストを試したことがないのであれば、安価なものでも構いませんので一度試してみることをお勧めします。
一度でも本物のカポタストを使用した経験があれば、代用品の素材選びや作り方がより理解しやすくなるでしょう。それぞれの特性を知ることで、自分の演奏スタイルに合った代用品が見つかるかもしれません。