「ムベ(郁子)」と呼ばれるアケビに似た果物をご存知でしょうか？この果物は、アケビと見た目がよく似ており、紫色で美しい外観を持つ木に実るフルーツの一種です。
一般的にあまり知られていない「郁子」に焦点を当て、その果物の特徴や美味しさ、食べ方、そしてアケビとの異なる点について探ってみました。
ムベ(郁子)とはどんな果実？どんな味？
ムベ（郁子）はアケビ科ムベ属に属する果物で、「トキワアケビ」としても知られています。この果物は台湾、中国、そして日本の東北南部から西部のエリアで自生し、果実は主に4月から5月にかけて実を結びます。
完熟すると、ムベの皮は美しい紫色に変化し、内部にはゼリー状の果肉と多くの黒い種が詰まっています。食用とされるのは、そのゼリー状の果肉で、種は摂取できませんので、口から取り除く必要があります。
ムベにはさまざまな栄養素が含まれており、かつては生薬や民間療法にも使用されていました。果実の主な栄養素には、βシトステロールやアミリンが含まれています。さらに、葉や茎にはスタントニンやムベニンなどの栄養素が豊富に含まれており、これらは健康に寄与すると期待されています。
ムベを摂取することで期待できる効果としては、コレステロール値の低下や食べ過ぎによる肥満の予防などが挙げられます。特に血中コレステロール値が高いと、生活習慣病のリスクが増加するため、ムベの摂取は大病予防にも効果的です。
自然に生育する植物であるにもかかわらず、ムベの果実は通販でも入手可能です。果実が実るのは4月下旬から5月の春の時期なので、旬の時期に通販で入手したい方は注意してください。
アケビとの特徴の違い
ムベと瓜二つに見える「アケビ」との違いには、いくつか特有の特徴が存在します。これらの果物は一見して同じアケビ科に属するものの、以下に述べるような特徴に違いがあります。
最も顕著な違いは、完熟しても果実が割れずに開かないという点です。ムベは完熟しても果実がパカッと割れず、外観が変化しません。一方で、アケビは熟すると果実が割れ、中の種や果肉が見えるようになります。この特徴が見分けの鍵となります。
また、ムベは木に実をつける果実であるものの、毎年必ずしも実を結ばないことも挙げられます。樹木や環境の条件によっては実が結ばれないことがあり、そのためアケビよりも実が少なく、あまり一般的に知られていない果物となっています。
ムベの種に毒はある？
ムベの種は食べることができませんので、食べる際にはスイカの種のように口から出す必要があります。種が多く詰まっているため、食べる前に取ることは非常に手間がかかります。口の中で果肉と種を分ける作業が必要です。
一部で「ムベの種には毒があるのでは？」という噂も聞かれますが、実際のところムベの種には毒性はありません。この点はアケビの種と同様で、毒性はないものの、食べ過ぎると消化不良を引き起こす可能性があるため、過度な摂取は避けるようにしましょう。
ムベの皮や果実の食べ方･作り方
ムベの果実や皮の食べ方、そして美味しいムベ料理の作り方をご紹介します。もちろん、そのまま食べることもできますが、アレンジすることでより美味しく楽しむことができます。
新芽の三杯酢
ムベは果実だけでなく、茎も食べることができます。ムベの新芽を使用した三杯酢は、お酢の酸味と新芽のほろ苦さが絶妙にマッチし、春の香りを感じさせる一品です。作り方は非常に簡単で、お酢に新芽を漬け込むだけです。
ムベ酒
桃や梅、杏などの果実酒がありますが、ムベを使用したムベ酒も楽しむことができます。種を取らずにお好みのお酒に漬け込むだけで、手軽に作ることができます。じっくり漬け込んで半年以上経過させると、ムベのほのかな甘みが引き立つ美味しいムベ酒が完成します。
ムベジャム
ジャムは形が崩れやすいため、小粒や傷のあるムベを使用するのがおすすめです。形が崩れても美味しいジャムに仕上げることができ、加熱によって変色しても問題ありません。傷モノの梅や少し傷んだムベを活用して、美味しいジャムを楽しんでください。
ムベジュース
ムベジュースは市販でも見られますが、家庭で作るのも楽しいです。種を取り分ける手間がかかりますが、果肉だけを取り出しミキサーにかければ、手作りのムベ100%ジュースが完成します。栄養豊富で健康効果が期待できます。
まとめ
「アケビによく似たムベってどんな果物？」というテーマについてご紹介しました。ムベは見た目がアケビに酷似しているが、その特徴や食べ方、健康効果に注目してみました。高栄養かつかつては生薬としても利用されていたこの果物は、通販で手軽に入手できるため、気になる方はぜひ試してみてください。健康に良い効果も期待できますよ。
