北海道から沖縄まで、全国各地で広く見られる太刀魚。その淡泊であっさりとした味わいは、刺身にすると格別で、塩焼きや白身フライにして食べるとホクホクとした食感が楽しめます。
夏の季節である7月から10月が旬ではありますが、年間を通して釣って楽しむことができます。
この日本人に親しまれる美味しい太刀魚ですが、意外なことに食べ過ぎはあまりおすすめできません。
今回は、
太刀魚を過剰に摂取すると危険
吐き気が感じられた場合の注意点
実は太刀魚の皮には毒がある
について、くわしく解説していきます。
太刀魚を食べすぎると危険なの?
食べ過ぎは一般的に避けるべきだと言われていますが、その理由はいくつかあります。
① 高カロリー
太刀魚は100gあたり266kcalと、意外にも高いカロリーを含んでいます。同じ白身の魚であるカレイは100gあたり約95kcalであり、太刀魚はそれの2倍以上のカロリーを持っています。例えば、マクドナルドのアップルパイ1個(211kcal)よりも太刀魚の方がカロリーが高いのです。
美味しさに引かれて太刀魚を過剰に摂取すると、簡単に体重が増えてしまいます。食べ過ぎによるカロリー摂取の増加は、健康への悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
太刀魚の刺身を食べすぎる危険なの?
太刀魚の刺身を摂取することは、ある寄生虫の存在によって危険です。なぜなのか、以下にその理由を解説いたします。
① アニサキスがいる
太刀魚を含む海水魚は一般的に、「アニサキス」という寄生虫に感染している可能性があります。アニサキスは海水魚に寄生する寄生虫で、淡水魚には寄生しませんが、回遊魚として知られる魚に感染します。この寄生虫はオキアミなどの中間宿主を介して太刀魚などの待機宿主に感染し、人がこれらの魚を摂取することで人体に取り込まれる可能性があります。
食後、数時間から数日以内に食中毒の症状が現れ、激しい下腹部痛や吐き気、嘔吐を伴います。これにより、「消化管アニサキス症」と診断されることもあります。アニサキスが人体に侵入すると、粘膜や腸壁に穴を開け、筋肉に侵入しようとします。小腸の腸壁が薄いため、アニサキスによる穴開けが起こることもあります。
すべての魚がアニサキスに感染しているわけではありませんが、感染した魚を摂取しても食中毒症状が出ない人もいます。ただし、食中毒自体が危険であるため、対策が必要です。
② アニサキスは塩焼きで死滅するので安心
アニサキスは熱や冷凍に弱い寄生虫で、太刀魚を塩焼きにすると寄生しているアニサキスが死滅するため、太刀魚の塩焼きを食べることは安心です。アニサキスは60度以上で1分以上加熱すると死滅します。また、塩焼き以外にも煮たり揚げたりするなど、熱を加える調理方法があればアニサキスは死滅します。太刀魚を刺身で摂取する場合は、冷凍してアニサキスを死滅させた後に食べることで食中毒の心配がなくなります。冷凍の場合は、-20度以下で24時間以上冷凍するとアニサキスが死滅します。
③ 太刀魚の皮には毒がある
太刀魚は鱗がない魚で、「グアニン」という成分の層で皮の表面が覆われています。このグアニン層が太刀魚の体をキラキラと輝かせています。しかし、鮮度が落ちた太刀魚の刺身などでそのまま皮を摂取すると、グアニン中毒を引き起こす可能性があります。したがって、太刀魚を生で食べる場合は新鮮なうちに摂取し切るようにしましょう。なお、太刀魚の特徴的な輝きを生かして真珠や化粧品に利用されていることもあります。
太刀魚の安全で美味しい料理を紹介
太刀魚を使った美味しい料理はいくつかあります。以下に、太刀魚のムニエルと太刀魚のかば焼きの作り方を紹介します。
太刀魚のムニエル
材料:
太刀魚: 適量
片栗粉: 適量
バター: 適量
オリーブオイル: 適量
レモン汁: 適量
パセリ(お好みで): 適量
手順:
太刀魚の水気を切り、両面に片栗粉をまぶす。
熱したフライパンで太刀魚を両面焼き、最後にバターを絡めて風味を加える。
オリーブオイル、レモン汁、お好みで刻んだパセリを混ぜてソースを作る。
焼いた太刀魚をお皿に盛り付け、ソースをかけて完成!
太刀魚のかば焼き
材料:
太刀魚: 適量
小麦粉: 適量
醤油: 適量
砂糖: 適量
みりん: 適量
酒: 適量
手順:
太刀魚を3枚におろし、小麦粉をまぶす。
フライパンで両面を焼く。
フライパンから太刀魚を取り出す。
醤油、砂糖、みりん、酒をフライパンに入れ、太刀魚を戻して煮詰める。
煮詰まったら完成!
これらのレシピを試して、太刀魚の新しい美味しさを楽しんでみてください。
太刀魚の栄養を紹介
太刀魚は栄養価が豊富で、体に良い栄養素が多く含まれています。以下は、太刀魚に含まれる主な栄養素です。
タンパク質: タンパク質はエネルギー源であり、筋肉や体を構築するために重要な栄養素です。
DHA(ドコサヘキサエン酸)/ EPA(エイコサペンタエン酸): DHAとEPAは免疫力を向上させ、脂肪の燃焼を促進し、高血圧予防に寄与します。また、これらの脂肪酸は他の体に良い栄養素を吸収するのを助けます。
ビタミンE: ビタミンEには抗酸化作用があり、老化予防や抗がん作用、血行促進作用があります。
ビタミンD: ビタミンDはカルシウムやリンの吸収をサポートし、筋肉の収縮を調整する役割があります。
太刀魚には特にDHAとEPAが豊富に含まれており、これらの脂肪酸は脂肪燃焼効果があります。適切な量を摂取することで、他の体に良い栄養素を吸収しながら、健康的にダイエットすることができます。
ただし、太刀魚は高カロリーなので、食べ過ぎには注意が必要です。適切な量を食事に取り入れることで、太刀魚は体にとって良い食材となります。
まとめ
今回は、太刀魚についての注意点と安全な食べ方について詳しく解説してきました。
太刀魚を食べる際には以下のポイントに留意することが重要です。
アニサキスに注意が必要: 太刀魚はアニサキスという寄生虫に感染する可能性があります。食べ過ぎによるアニサキス摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。食後に吐き気がした場合は、早急に医師に相談しましょう。
皮に毒がある: 太刀魚の皮には毒が含まれているため、新鮮でない太刀魚を刺身として摂取するとグアニン中毒を引き起こす可能性があります。新鮮な太刀魚を使用し、なるべく早く摂取することが重要です。
加熱すると安心して食べられる: アニサキスは熱や冷凍に弱いため、太刀魚を加熱調理することで寄生虫の心配を軽減できます。特に塩焼きや他の調理法でアニサキスを死滅させ、安全に食べることができます。
栄養素が豊富に含まれている: 太刀魚は栄養価が豊富で、タンパク質、DHA/EPA、ビタミンE、ビタミンDなどが含まれています。これらの栄養素は健康に良い効果をもたらします。
総じて、太刀魚は適切な注意と調理法を守れば美味しく安全に楽しむことができます。栄養価も高いため、適度な量を摂り入れることで健康に貢献します。